*読めば分かるように期待を裏切らない変態です。
小さく口を開いて、ゆっくり深呼吸をする。朝の清冽な空気が肺に満ちて行く、気がした。
父、ブラッディマリーの店は何しろ高台というか、家々を重ね重ね更にそこから突き出したような…さながら要塞の見張り台のごとく、なのでそこから眺める街は別世界のようにとても遠く小さく見える。ポムグラニットはこれからその下界に降りていくことを考えてうんざりした。しかし行きの坂、階段、また坂、そして長い長い階段、そしてそして折々に…これがまた、忘れた頃に…曲がるべき、しかし植え込みやらで埋もれてしまっている小路、それらの障害多き道を思えば帰りはいくらか楽なものである。彼女がいつも思うのはこんな場所に果たして客が来るのかという基本的な疑問だが、骨董屋は父の本業ではないのだから客は来ないくらいでいいと考えているのかもしれない、彼女も考える以上のことはしない。それでもこの立地は鳥のようには飛べない彼女にはこたえた。
骨董屋の名前は「オールドローズ」(主人をよく知っているなら、安直なネーミングだとすぐに分かるだろう)。商売をする気は、ほぼない。外の複雑さを内に移したかのような乱雑かつ混沌とした店内には、店番が一人(背が高い・年齢不詳・無表情・無口・烏・全体に気味が悪い)いるにはいるが、父に頼まれた小箱を探しだすには苦労した(・やる気もない、からである)。あの店のどこに何があるなど誰も分からない。
(それにしても、何が入っているのか…)
小箱は丁度指輪の箱のように見えたし、ポムグラニットもそうだと考えている。当然中は見ないように言い含められているが、それを聞かないのが彼女の性格でもある。どうせ持っていっても中が見られるとも限らないなら、いっそ。パンドラも斯くあらん、もしくは女は皆パンドラなのか、とにかく箱は開かれる運命だった。
ポムグラニットは知っていた。箱に魔法が潜んでいることを。魔法も神秘も彼女は何も怖れはしなかった、ただ胸が高鳴った。好奇心、それは何物にも勝って気持ちを高揚させる。日常はひどく物足りなく、朝の静寂を破る刺激的な非日常を箱の中に求めて、開いた。
父、ブラッディマリーの店は何しろ高台というか、家々を重ね重ね更にそこから突き出したような…さながら要塞の見張り台のごとく、なのでそこから眺める街は別世界のようにとても遠く小さく見える。ポムグラニットはこれからその下界に降りていくことを考えてうんざりした。しかし行きの坂、階段、また坂、そして長い長い階段、そしてそして折々に…これがまた、忘れた頃に…曲がるべき、しかし植え込みやらで埋もれてしまっている小路、それらの障害多き道を思えば帰りはいくらか楽なものである。彼女がいつも思うのはこんな場所に果たして客が来るのかという基本的な疑問だが、骨董屋は父の本業ではないのだから客は来ないくらいでいいと考えているのかもしれない、彼女も考える以上のことはしない。それでもこの立地は鳥のようには飛べない彼女にはこたえた。
骨董屋の名前は「オールドローズ」(主人をよく知っているなら、安直なネーミングだとすぐに分かるだろう)。商売をする気は、ほぼない。外の複雑さを内に移したかのような乱雑かつ混沌とした店内には、店番が一人(背が高い・年齢不詳・無表情・無口・烏・全体に気味が悪い)いるにはいるが、父に頼まれた小箱を探しだすには苦労した(・やる気もない、からである)。あの店のどこに何があるなど誰も分からない。
(それにしても、何が入っているのか…)
小箱は丁度指輪の箱のように見えたし、ポムグラニットもそうだと考えている。当然中は見ないように言い含められているが、それを聞かないのが彼女の性格でもある。どうせ持っていっても中が見られるとも限らないなら、いっそ。パンドラも斯くあらん、もしくは女は皆パンドラなのか、とにかく箱は開かれる運命だった。
ポムグラニットは知っていた。箱に魔法が潜んでいることを。魔法も神秘も彼女は何も怖れはしなかった、ただ胸が高鳴った。好奇心、それは何物にも勝って気持ちを高揚させる。日常はひどく物足りなく、朝の静寂を破る刺激的な非日常を箱の中に求めて、開いた。
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