*読めば分かるように期待を裏切らない変態です。
いきなり長すぎる妄想で閉口ものでしたんで、読みたければ下記のリンクテキストからどぞ。
ファンタジー系乙女ゲー(ただしおっさんに限る)でござる
ファンタジー系乙女ゲー(ただしおっさんに限る)でござる
今日の朝はいつもと同じ、いや、少し遅めだった。
いつものバスには間に合わないかもという訳で、一本遅いバスに乗ることにしたから。別に学校に遅刻する時間じゃないし、少し寝坊した日にはよくある、そうよくある朝だった。…そのバス停までは。
実際バス停までですらなく…まずは、冴木くんと会った所からかな。
冴木くんに話し掛けられたのは信号待ちのとき。
「相楽ちゃんおはよー。」
「あ、おはよ。」
「今日は遅くない?」
「寝坊。」
『近所に住んでる幼馴染みポジション』の冴木くんは、幼馴染みだっていうのに名字呼びという段階なので本当に何でもなく幼馴染みだし、信号待ちの時に挨拶する程度のお付き合い。挨拶をするくらいなら、むしろ向かいの歩道の『緑のおじちゃん』との方がよっぽど仲良しだ。
『緑のおじちゃん』と言っても分からないだろう。『緑のおばちゃん』さえも分からないかもしれない昨今だし…。通学路の横断歩道に旗持って立っていて、信号が青になったら「手をあげて渡りましょうねー」と言うような…そういうおばちゃんである。『緑のおじちゃん』はこの信号のある曲がり角の家の人で、いつも緑の帽子を被っている分かりやすいおじちゃんだ。私は義務教育の頃から彼に挨拶するのが日課で、その回数たるや寝坊した時にしか会わない冴木くんとの比ではない。
そんなわけで、おじちゃんへの「おはようございまーす!」を用意して冴木くんと信号待ちをしていたとき…今日はなんだか、待ちが長いな、と思ったとき…異変に、気付いた。
「…冴木くん?」…反応しない。「え、シカト?私何かしたかな?おーい。」微動だにせず。「嘘でしょ、まさか立ったまま寝てるの?しかも目も開けたまま?やばいよそれTV出られるよ!おーい!」起きない、いやむしろ、「私以外止まってるなんてことない、よね?」
しかし信号も車も風も音も冴木くんも止まっていた。ひどく怖くなって、気が付くと『緑のおじちゃん』がいなかった。
(夢…?ひょっとしてこれ、夢かな…そうなら、そうならこの辺で…止めにしてくんないかな…。)
だって、こういう時は怖くなっていくのがセオリーだから。
音さえもしなかったのに、ふと背後に寒気を感じて振り返った。さっき歩いてきた道…その遠くに見える…それは見たことのない生き物だった。夢、醒めて、と思った。
それは、わずかに赤く発光しているようだった(この時点でそんな生き物は知らない。)。大きさは人間ほどある、けれど人間とは思えない(光っているし…。)。羽根があって、牙がみえていて、鋭い爪もあって、赤紫の肌のそれは、…近づいていた。
声も出せずに私は走り出した。出したくても、出てこなかった。夢だからまあいいか、と頭ののんびりした部分が思ったけれど、夢でもあんな怪物にばりばり食べられるのは嫌だ。走ったけれど、そう、向こうの方が足が早かった。夢の中の怪物のセオリー通りに(あるのかは知らないけど。)。
後ろに気をとられた私は、壁に激突してよろめいてしまった。
(もういい、夢だから。痛いけど、これは夢。)
右腕が無意識に持ち上がり、怪物に向かって手をかざした。そんなもので止められる訳ないじゃん、いや、夢だからもう分かんない。
その時はまだ夢だって思ってた。…その先も、今になるまで。
かざした手の甲に青く模様が浮かんだ。不思議に思う間もなく、手が青く光って…青い光の輪を放った。
光の輪は怪物にぶつかると、爆発したような強い光が目を眩ませた。そして次には…怪物は、消し飛んでいた。
これって、魔法かな…なんてちょっといい気分になっていると、
「**********」
確かに人の、男の人の声がした。日本語ではない、でも、分かった。
「さすが、さすがは姫様。」
声の方を見ると、いつやって来たのだろう、長い金髪のおじさんが私に話し掛けている。外国人の年齢って分からないからひょっとしてお兄さんだったら申し訳ないな、と思った。
「姫って?」
私もなぜかその言葉を話すことができた。
「君のことだよ、君が姫だ。正確には、伝説の勇者と呼ぶべきね。」
「訳が分からないんですけど。あの、さっきの怪物とか、魔法みたいなのとか、あなたは知ってるんですか。」
「ついておいで。」
と言って彼が指した先は、何と言うべきか…空間に空いた真っ暗な穴だった。しかしそれでさえ、夢ということで私は深く気にせずに、知らないおじさんについて行ってしまったのだ。
ここでよいこのみんなに伝えたいことがある。たとえ夢でも知らないおじさんについて行ってはいけない。
穴の中は暗い道だった。私はおじさんの金髪を頼りに(黒ずくめの服だったので、そこしか目立たなかったのだ。)進んだ。
「教えてください、勇者だとか、何なのですか。」
「その前に自分の事を教えるべきかな。おじさんの事は『マーオ』って呼んで。」
おじさんでいいんだ、と思った。
「君を、俺たちの世界へ、迎えに来た。理由はゆっくり話す。君は?」
おじさん…マーオは私に振り返って尋ねた。にやっ、というような、方頬で笑いながら。
「私は、相楽 奏。音を奏でるの、かなで。」
「じゃあ、名前で呼ぼう。…そして人違いでも無かった訳だ。君が正真正銘、俺たちの世界を救う人。」
俺たちの世界、がよく分からなくて、首を傾げてみせた。
「君から見れば『異世界』、衣装ダンスの向こうさ…と、言っても、」
マーオは何かを探すように私の目をみて(つまりは目があって)、何だかどきりとした。それを見てか彼はふっ、とまた方頬を歪めて、
「君も『こっちの』世界の人間、いや住人、だったわけだが。」
何を、と考えた。だって私は生まれてこのかた引っ越しをしたこともなく、本当に生まれた時からのアルバムだってあるし、父も母も祖父母も健在でごくごく平凡な高校生なのである。どこにもそんな、異世界の入り込む隙間はない私の履歴。
「信じていないだろう。それはそうさ、『我々』しか知らない、しかも『君』が生きているなんて、最近分かったことだ。誰も分からないようにやったんだ…君、取り換えられたんだよ、本当の奏ちゃんと。」
夢だ、という心構えでも、唾を飲んだ。
「私、異世界なんて知らない。」
「一歳とか二歳とか、君、記憶にあるか?」
「ありません。」
「即答じゃないか。」
しかし、取り換え子かあ、ファンタジーな話だなあ。とのんきなものだったのである。それを聞いても。
「何故そんなことをされたかって言うと、君は生まれたときからあんまりにも特別な存在だったから。…着くよ、『異世界』だ。」
マーオの金髪ばかり見ていた私は、ようやく前方の光に気付いた。きっと衣装ダンスの奥にも、こんな光が差していた。ああ、私はファンタジー好きだ…つまりこの展開は大歓迎だった。
穴を抜けると、そこはしんと冷えた石の部屋。澄んだ水を湛えた泉に日の光が差してきらきらしていた。泉の中には、白い大理石(だと思う)で女の像。マーオはそれを指差して、
「あれ、君だから。」
えっ、…美人すぎだし。素直な感想はそんなところだ。
っていう一日を送りたいな。いや終わってねえし。
ちなみに私の本名を知ってる人が読んだら爆笑する仕様です。ツヅクカナー?
いつものバスには間に合わないかもという訳で、一本遅いバスに乗ることにしたから。別に学校に遅刻する時間じゃないし、少し寝坊した日にはよくある、そうよくある朝だった。…そのバス停までは。
実際バス停までですらなく…まずは、冴木くんと会った所からかな。
冴木くんに話し掛けられたのは信号待ちのとき。
「相楽ちゃんおはよー。」
「あ、おはよ。」
「今日は遅くない?」
「寝坊。」
『近所に住んでる幼馴染みポジション』の冴木くんは、幼馴染みだっていうのに名字呼びという段階なので本当に何でもなく幼馴染みだし、信号待ちの時に挨拶する程度のお付き合い。挨拶をするくらいなら、むしろ向かいの歩道の『緑のおじちゃん』との方がよっぽど仲良しだ。
『緑のおじちゃん』と言っても分からないだろう。『緑のおばちゃん』さえも分からないかもしれない昨今だし…。通学路の横断歩道に旗持って立っていて、信号が青になったら「手をあげて渡りましょうねー」と言うような…そういうおばちゃんである。『緑のおじちゃん』はこの信号のある曲がり角の家の人で、いつも緑の帽子を被っている分かりやすいおじちゃんだ。私は義務教育の頃から彼に挨拶するのが日課で、その回数たるや寝坊した時にしか会わない冴木くんとの比ではない。
そんなわけで、おじちゃんへの「おはようございまーす!」を用意して冴木くんと信号待ちをしていたとき…今日はなんだか、待ちが長いな、と思ったとき…異変に、気付いた。
「…冴木くん?」…反応しない。「え、シカト?私何かしたかな?おーい。」微動だにせず。「嘘でしょ、まさか立ったまま寝てるの?しかも目も開けたまま?やばいよそれTV出られるよ!おーい!」起きない、いやむしろ、「私以外止まってるなんてことない、よね?」
しかし信号も車も風も音も冴木くんも止まっていた。ひどく怖くなって、気が付くと『緑のおじちゃん』がいなかった。
(夢…?ひょっとしてこれ、夢かな…そうなら、そうならこの辺で…止めにしてくんないかな…。)
だって、こういう時は怖くなっていくのがセオリーだから。
音さえもしなかったのに、ふと背後に寒気を感じて振り返った。さっき歩いてきた道…その遠くに見える…それは見たことのない生き物だった。夢、醒めて、と思った。
それは、わずかに赤く発光しているようだった(この時点でそんな生き物は知らない。)。大きさは人間ほどある、けれど人間とは思えない(光っているし…。)。羽根があって、牙がみえていて、鋭い爪もあって、赤紫の肌のそれは、…近づいていた。
声も出せずに私は走り出した。出したくても、出てこなかった。夢だからまあいいか、と頭ののんびりした部分が思ったけれど、夢でもあんな怪物にばりばり食べられるのは嫌だ。走ったけれど、そう、向こうの方が足が早かった。夢の中の怪物のセオリー通りに(あるのかは知らないけど。)。
後ろに気をとられた私は、壁に激突してよろめいてしまった。
(もういい、夢だから。痛いけど、これは夢。)
右腕が無意識に持ち上がり、怪物に向かって手をかざした。そんなもので止められる訳ないじゃん、いや、夢だからもう分かんない。
その時はまだ夢だって思ってた。…その先も、今になるまで。
かざした手の甲に青く模様が浮かんだ。不思議に思う間もなく、手が青く光って…青い光の輪を放った。
光の輪は怪物にぶつかると、爆発したような強い光が目を眩ませた。そして次には…怪物は、消し飛んでいた。
これって、魔法かな…なんてちょっといい気分になっていると、
「**********」
確かに人の、男の人の声がした。日本語ではない、でも、分かった。
「さすが、さすがは姫様。」
声の方を見ると、いつやって来たのだろう、長い金髪のおじさんが私に話し掛けている。外国人の年齢って分からないからひょっとしてお兄さんだったら申し訳ないな、と思った。
「姫って?」
私もなぜかその言葉を話すことができた。
「君のことだよ、君が姫だ。正確には、伝説の勇者と呼ぶべきね。」
「訳が分からないんですけど。あの、さっきの怪物とか、魔法みたいなのとか、あなたは知ってるんですか。」
「ついておいで。」
と言って彼が指した先は、何と言うべきか…空間に空いた真っ暗な穴だった。しかしそれでさえ、夢ということで私は深く気にせずに、知らないおじさんについて行ってしまったのだ。
ここでよいこのみんなに伝えたいことがある。たとえ夢でも知らないおじさんについて行ってはいけない。
穴の中は暗い道だった。私はおじさんの金髪を頼りに(黒ずくめの服だったので、そこしか目立たなかったのだ。)進んだ。
「教えてください、勇者だとか、何なのですか。」
「その前に自分の事を教えるべきかな。おじさんの事は『マーオ』って呼んで。」
おじさんでいいんだ、と思った。
「君を、俺たちの世界へ、迎えに来た。理由はゆっくり話す。君は?」
おじさん…マーオは私に振り返って尋ねた。にやっ、というような、方頬で笑いながら。
「私は、相楽 奏。音を奏でるの、かなで。」
「じゃあ、名前で呼ぼう。…そして人違いでも無かった訳だ。君が正真正銘、俺たちの世界を救う人。」
俺たちの世界、がよく分からなくて、首を傾げてみせた。
「君から見れば『異世界』、衣装ダンスの向こうさ…と、言っても、」
マーオは何かを探すように私の目をみて(つまりは目があって)、何だかどきりとした。それを見てか彼はふっ、とまた方頬を歪めて、
「君も『こっちの』世界の人間、いや住人、だったわけだが。」
何を、と考えた。だって私は生まれてこのかた引っ越しをしたこともなく、本当に生まれた時からのアルバムだってあるし、父も母も祖父母も健在でごくごく平凡な高校生なのである。どこにもそんな、異世界の入り込む隙間はない私の履歴。
「信じていないだろう。それはそうさ、『我々』しか知らない、しかも『君』が生きているなんて、最近分かったことだ。誰も分からないようにやったんだ…君、取り換えられたんだよ、本当の奏ちゃんと。」
夢だ、という心構えでも、唾を飲んだ。
「私、異世界なんて知らない。」
「一歳とか二歳とか、君、記憶にあるか?」
「ありません。」
「即答じゃないか。」
しかし、取り換え子かあ、ファンタジーな話だなあ。とのんきなものだったのである。それを聞いても。
「何故そんなことをされたかって言うと、君は生まれたときからあんまりにも特別な存在だったから。…着くよ、『異世界』だ。」
マーオの金髪ばかり見ていた私は、ようやく前方の光に気付いた。きっと衣装ダンスの奥にも、こんな光が差していた。ああ、私はファンタジー好きだ…つまりこの展開は大歓迎だった。
穴を抜けると、そこはしんと冷えた石の部屋。澄んだ水を湛えた泉に日の光が差してきらきらしていた。泉の中には、白い大理石(だと思う)で女の像。マーオはそれを指差して、
「あれ、君だから。」
えっ、…美人すぎだし。素直な感想はそんなところだ。
っていう一日を送りたいな。いや終わってねえし。
ちなみに私の本名を知ってる人が読んだら爆笑する仕様です。ツヅクカナー?
PR

